白山周辺(岐阜) 馬狩荘司山(1730m)、三方岩岳(1736m)、瓢箪山(1637.1m)、国見山(1690m)、仙人窟岳(1747m) 2021年5月4日  カウント:画像読み出し不能

所要時間 3:26 登山口−−6:12 県境(1740m峰)−−6:55 馬狩荘司山−−7:21 三方岩岳−−8:30 瓢箪山−−9:08 国見山−−10:40 仙人窟岳 11:58−−13:11 国見山を巻く−−13:42 瓢箪山−−14:37 1700m峰 14:42−−14:51 三方岩岳を巻く−−15:11 休憩 15:58−−16:01 馬狩荘司山−−16:26 県境(1740m峰)−−17:19 登山口

場所岐阜県大野郡白川村/石川県白山市
年月日2021年5月4日 日帰り
天候
山行種類残雪期の籔山
交通手段マイカー
駐車場登山口前に駐車場あり
登山道の有無三方岩岳まではあり。その先は無し
籔の有無仙人窟岳手前は灌木藪が出ていたが他は残雪で藪を回避できた
危険個所の有無無し
山頂の展望馬狩荘司山:良好
三方岩岳:イマイチ
瓢箪山:良好
国見山:良好
仙人窟岳:良好
GPSトラックログ
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コメント本来は白山白川郷ホワイトロード馬狩料金所から仙人窟岳を往復予定だったが、料金所直前の橋が雪崩で流され白谷を渡れなかったため大窪から馬狩荘司山経由に変更。距離が延びて日帰りできるか自信が無かったが暗くなる前に下山できた。藪が出ていたのは仙人窟岳手前だけで残雪を有効利用できた。前日までの寒気で新雪が20〜30cm積もってラッセルがきつかったが、先人の足跡のおかげで体力がセーブできた。このトレースが無ければおそらく瓢箪山までであっただろう。感謝! 残雪の山で7時間無休憩で歩いたのは初めて


地図(クリックで等倍表示)


ピンボケだが登山口。デジカメが冷えるとダメらしい
標高1280m付近から東を見ている。まだ夜明け前
標高1280m付近から見た立山〜剱岳〜後立山
標高1280m付近から見た槍ヶ岳〜穂高連峰
標高1300m付近 標高1330m付近
標高1380m付近
標高1490m肩から見た南〜西の展望
標高1520m付近から見た県境1740m峰 野谷荘司山。西に行き過ぎてしまった
東へ戻るようなトレースへ乗る 馬狩荘司山への登り
馬狩荘司山と三方岩岳 馬狩荘司山から見た野谷荘司山
馬狩荘司山山頂 1660m鞍部から見た三方岩岳
三方岩岳西側直下のテント。トレースの主 三方岩岳山頂へは雪が乗った低木藪
三方岩岳山頂。山頂標識はやや下がった位置に見えた
三方岩岳から見た南側
テント拡大。斜めだが風が避けられる場所だった 真新しいトレースを使わせてもらう
1700m峰から見た白山 1700m峰。ここにも三方岩岳の山頂標識あり
1700m峰から見た三方岩岳〜白山
1700m峰から見た北西側の県境稜線 もったいないほど高度を下げる
1570m峰の展望台。登山道はここまでだが積雪で不明 1560m鞍部から登り返す
1630m峰から見た国見山〜仙人窟岳。まだ遠い
瓢箪山山頂 瓢箪山から見た国見山
瓢箪山から見た三方岩岳
国見山山頂直下
国見山山頂。先人のトレースは山頂を巻いていた
1530m鞍部へと大きく下る 標高1600m付近から見た仙人窟岳
標高1550m付近の雪壁手前でアイゼン装着 標高1550m付近の小さな雪壁
1530m鞍部先にも小さな雪壁 標高1540m付近から見た仙人窟岳
標高1550m付近の最後の雪壁 標高1570m付近
1646m峰から見た仙人窟岳
1646m峰から見た国見山
標高1650m付近で灌木藪に突入 まだ標高1650m付近
ここも標高1650m付近 標高1660m付近
標高1660m付近のストック 1700m肩直下でやっと藪から解放される
1700m肩から見た仙人窟岳 仙人窟岳山頂から見た笈ヶ岳
トレースの主発見!
仙人窟岳山頂と360度パノラマ展望写真(クリックで拡大)
仙人窟岳から見た北アルプス(クリックで拡大)
西寄りの風が強いため稜線東側直下で休憩 ここが休憩箇所。一段下がって風除けバッチリ
下山開始。と言っても馬狩荘司山までほとんど標高が変わらない 灌木藪地帯を下る
藪を突破。もう藪漕ぎは無い 1550m峰から見た国見山への登り返し
国見山への登り返し 帰りは国見山を巻いた
標高1670m付近 1686m峰
1686m峰直下から見た三方岩岳 瓢箪山山頂を通過
1630m峰から仙人窟岳を振り返る
1630m峰から下る 1570m峰の展望台
1570m峰から見た三方岩岳への登り返し 1570m峰から見た岐阜側の有料道路
僅かな区間で夏道登場 三方岩岳へ登り返す。さすがに苦しい
標高1690m付近から見た仙人窟岳、笈ヶ岳 1700m峰。単独男性がいた
1700m峰から見た真の三方岩岳 三方岩岳山頂直下のテント。主はもう一泊かな
三方岩岳からの下り 標高1710m付近から見た馬狩荘司山
馬狩荘司山への登り返し 馬狩荘司山手前で最後の休憩
休憩場所から見た馬狩荘司山 馬狩荘司山山頂
馬狩荘司山から見た野谷荘司山
1700m峰で会った男性+1名のトレースが増えてラッセル無し この尾根を下る
県境稜線を離れて東へ下る 1602m峰から尾根を見下ろす
標高1470m付近 下りのアイゼンの足跡
標高1360m付近 標高1280m付近
標高1230m付近のマンサク 標高1070m付近
標高1060m付近 標高840m付近のカタクリ
標高770m付近の倒木 登山口直上。雪で倒れた木のおかげで往路はルート不明だった
登山口の墓地 登山口の駐車場


・白山周辺では東側の妙法山〜仙人窟岳の間が長らくまとまって未踏のままだった。これは妙法山〜三方岩岳間は夏道があり、いつでも歩けるからが大きい。登山道が無い三方岩岳以北はいつか・・・とは考えていたが、地形的に残雪期にそれほど難しい場所とは思えず、後回しになっていた。しかしそろそろ残雪期末期に登れる山が残り少なくなり、白山周辺は大型連休中でも唯一まとまって登れる山なのであった。

・今年の大型連休は前半は天候が不安定で天気が長続きしなかった。寒気が入り標高が高い場所では大雪となり、乗鞍岳では雪崩が発生して死者が出るほど。北ア各地で遭難が発生した。

・やっと寒気が抜けて天候が回復するとのことであったが、天気が1日しか持たない予報。本当は白山東部はテントを担いで妙法山〜仙人窟岳をまとめて登ろうと考えていたのだが、山の上で悪天に遭遇してもめげないお年頃ではもうないので、2回に分けて日帰りでやることに決定。まずは最初に距離が長い仙人窟岳方面からやることにした。

・問題は山の上の新雪積雪量。このエリアの標高は1800m弱と比較的低く、さらには北アよりずっと西に位置するので寒気の中心から遠かったはずで、降雪は北アより少なかったはずだ。この時期なら常識的に考えてせいぜい数cm程度だろうと予想、ワカンは不要と考えてアイゼン、ピッケルだけ持つことにした。何せ今回のルートは距離が長いので可能な限り軽量化したいところ。

・安房トンネルを抜けて高山ICから高速道路に入り、白川郷ICで降りる。登山口は有料道路の料金所となるが、道路の橋が雪崩で流されて登山口までたどり着けないのが分かっているので、距離が延びるが大窪から野谷荘司山へ至る登山道を使わざるを得ない。数日前に登山口らしい場所を確認しているのでカーナビの助けは不要で到着。先客がいるようで1台の車が駐車してあったが昨日まで雪が降って山の上は天気が荒れたはずで、テント泊は大変だっただろう。

・今回のルートは非常に長く、何時間かかるのか予想が難しいのでできるだけ早い時刻から動き出すことにして日の出前の午前3時半に出発。登山口の標識は無いがぽつんとある墓地が目印。この横を登り始めたが残雪でいきなりルート不明となってしまった。直進は木の枝が邪魔して雰囲気的に道っぽくないので右手の開けた場所を進んだが、その先は藪で道が無い。反対側の左は杉の植林だがこれまた道が無い。取り付き場所が違うのかと地形図を見て車道を右往左往するが、地形図の破線起点はここに間違いなさそうだ。

・こうなると細かな地形は無視して地形図の破線のマクロな行方を見て進むしかない。マクロな地形は広い谷間を登ること。最初は直進なので邪魔な木は無視してそのまま直進すると雪が消えた個所から夏道が登場。木があったのは藪が生えているからではなく、残雪で木が倒されているからであった。僅かな距離の残雪のために20分くらい時間をロスってしまった。

・この先はライトの光だけでも道を外すことはなかったが、雪解け直後で歩く人の数は少ないので道形もそれなりに薄くなっていて、ジグザグっていたり倒木を迂回する個所では道の続きを探す場面も。ルートが標高920mまでは尾根上ではなく斜面にあるので分かりにくい。尾根上に出ればやっとはっきりしてくるが、たま〜に出てくる残雪で道が隠されるとこれまた分かりにくい。でもこの頃には周囲が明るくなり先が見渡せるようになったので、何となく夏道の続きが見えるようになった。

・標高1300m付近で登山道が尾根の北側直下に移ると本格的に残雪が表れる。この標高で昨日の新雪が残っていて明瞭な登りの足跡が残っていた。おそらく昨日のものだろう。このトレースのおかげでしばらくはアイゼンを装着せずに登ることができた。しかし傾斜がきつくなり滑落のリスクが高くなって途中でアイゼンを装着しピッケルを併用。まあ、ピッケルを使うほどではないが背中に背負っているよりは使った方が軽くなる。残雪が多いのは尾根直上ではなく北斜面で、尾根直上は古い残雪はほとんど無くて新雪ばかりであった。

・北斜面から尾根直上に乗ると固く締まった古い雪は少なく、しばらくは新雪だけ積もった状態になる。残念ながら当初の積雪予想は完全に外れて、この標高で既に10cmを越えて足首程度まで潜る。しかも湿った重い雪でラッセルは軽くはないが、幸いにして昨日のトレース(2名らしい)がしっかりと残っているのでほぼラッセルから解放された。逆に言えば先人はラッセルで相当苦労しただろう。ワカンやスノーシューではなくツボ足で、それが最後まで続いていた。

・尾根上でも傾斜が緩まった場所では古い残雪が残っているが、今は新雪が覆っているのでどこでも同じようなラッセルだ。先人の足跡が無ければこの時点で仙人窟岳は断念していただろう。

・尾根を登り切って県境稜線に到着。2人の足跡はともに野谷荘司山へ向かっていたが、途中で一人の足跡が右へトラバース。いったいどこへ向かったのだろうとこの時は不思議に思ったのだが、鞍部からその先の斜面の登りにかかって振り返ったところ、トラバースの足跡の向かった先が判明。私が目的地としている三方岩岳方面だったのだ。県境稜線に出てすぐに北上が正解で、今私が進んでいるのは妙法山方面だ。無駄な体力を使ってしまったが地形図をよく見なかった自分の落ち度だ。

・自分の足跡を戻ってトラバースの足跡へ乗り換えた。さて、この足跡はどこへ向かったのだろうか? 昨日の足跡なので幕営のはずであり、残雪期の今であることを合わせれば笈ヶ岳の線が濃厚と考えるのが自然だろう。もしそうなら仙人窟岳までトレースがあるはずであり、新雪ラッセルは完全回避できることになる。それならば日帰りもどうにか可能だろう。

・足跡は馬狩荘司山を越えて三方岩岳へ。馬狩荘司山は同じような高さの細長いなだらかなピークが2つ並んでいるが、野谷荘司山に近い方のピークが山頂らしい。標識が埋もれているのか山頂は一面の雪原で人工物は皆無だった。先人のラッセルがあっても深い新雪に苦労した。

・地形図を見ると三方岩岳の山頂は1700m峰を指しているようにも見えるが、この周辺の最高峰は南側の1736m峰なので私は1736m峰を三方岩岳山頂と認識した。この三方岩岳山頂付近はこれまでの植生とは異なり、ハイマツやハイマツ並みの矮小なシラビソ、ネズコの藪が覆っていた。この時期でも藪が出ているのは岩っぽい山頂だからだろうか。その藪の上に新雪が乗っているのでやっかいだ。真の山頂に夏道があるのか不明だが、今は新雪で道の存在は分からない。

・真の山頂西側の低い樹林帯の中にテントを発見。ラッセルしてくれた先人のものだ。テント前からは北へ向かって新しいアイゼン跡が続いていて、やはり行き先は笈ヶ岳と見た。しかし足跡は三方岩岳の真の山頂は踏んでおらず、ここだけは自力でラッセルするしかない。

・夏道が不明なので雪がへこんだ藪の谷間を適当に登るが藪の中に吸い込まれて消えてしまい、強固な藪との格闘開始。ハイマツ、ツガ、ネズコ等の高さは1m強といったところだが幹が固く、足を載せてもほとんど沈まない。それはそれでいいのだが、そのままずっと足を乗せ続ける木が続くわけではなく、その間は1m以上下に地面があり一度降りると次の枝に乗るのが大変だ。周囲を見渡して藪の切れ目が無いか探したところ、左側に雪の谷筋の連続を発見。苦労してそちらに移ると明らかに足元に藪が無く、夏道と思われた。そして三方岩岳の山頂標識をやや下がった岩場に発見。明瞭なピークは無く、藪に覆われた岩っぽい場所全体が同じような高さであった。

・雪に埋もれた夏道を戻って先人のトレースへ。足跡は真新しいが時間差はどのくらいだろうか。今の時刻はおよそ7時半。テント泊なら出発は5〜6時くらいだろうか。もしそうなら先人のラッセル労力を考慮して追いつけるかどうかギリギリくらいかな。少なくとも見える範囲の稜線に動く物体は見当たらない。

・ここから大きく下って1550m鞍部へ。夏道があるが大半は雪に埋もれているし、下りは雪の上を歩いた方が速いし膝にやさしいので稜線東側の残雪帯を下った。その先の小ピーク(1570m峰)に展望台があり、地形図ではここで夏道は有料道路へと下っているようだが、今は完全に雪の下で夏道の有無は判別できない。

・瓢箪山への登り返しは尾根というより広い斜面でどこでも歩けそうだが、新雪ラッセルを避けるために先人の足跡を忠実に追っていく。この付近はダケカンバの他に背の高いシラビソが見られる。

・県境稜線が西へ向きを変えると傾斜が緩まりしばらくはほぼ水平移動。この状態は国見山まで続く。谷を挟んで右手に見えている顕著はピークは笈ヶ岳のはずで、その手前の横長のピークが仙人窟岳だろう。まだまだ相当の距離がある。先人のトレースがあるとはいえ、体力的に持つのか自信が無い。

・瓢箪山は顕著なピークがあるわけではなく、いくつかの小ピークが連なっている。最初に登ったピークは偽ピークで、その後に地形図を見直して正しい山頂へ。瓢箪山山頂は広くなだらかで山頂周囲に明瞭な高まりはないので、台地状のどこでも山頂としていいだろう。トレースはその台地を横断していた。ここはほぼ立木皆無で大展望。

・緩やかに下って登り返した、これまた緩やかなピークが国見山で、トレースは山頂を僅かに巻いて仙人窟岳方面へ向かっているが、私は山頂を踏むためにやってきたのでトレース無しの新雪をラッセルして国見山山頂へ。新雪の深さは脛から深い場所で膝ほどもあり、ワカンを持ってこなかったことを深く後悔した。国見山山頂付近はなだらかで僅かなシラビソがあるだけで大展望。

・国見山から先はもったいないほど大きく下る。先人のトレースは尾根直上ではなく東側を大きく巻いているが、下りならトレースが無くても大した労力ではないので直線的に県境稜線を下っていく。帰りのことを考えて歩幅は狭めておくのを忘れない。標高1570mくらいでトレースが右から合流。既に傾斜が緩んだ地点なので、トレースによる労力削減効果は大きい。

・この先は尾根直上は藪が出ているが東側に残雪が連続する状態で、その残雪を登っていく。所々で階段状になっていて短いながら垂直に近い雪壁を登る必要が出てきたため、アイゼンを装着して軽ピッケルを持ち、アイゼンの出っ歯を雪壁に蹴り込んでピッケルを力いっぱい打ち込んで手掛かりとして雪壁を突破した。今はまだ雪が緩んでおらずアイゼンもピッケルも深く刺さらずにちょっと苦労したが、帰りはいい感じに雪が緩んで効きが良かった。

・このまま残雪の稜線を仙人窟岳まで辿れるかと思っていたら、標高1650m付近から尾根東側も雪が落ちて藪が出てしまっていた。今回初めての藪漕ぎで、笹より灌木が多く漕ぐのに苦労する。完全に雪が無いわけではないが、あるのは新雪なので藪は立ったままで雪が無い方がいいくらい。半端な新雪は衣類を濡らすし滑って困る。そういえばこの付近は新雪の積雪量が瓢箪山〜国見山付近より格段に少ない。積もった場所が雪の上ではないので地面の温度が高く、溶けるのが早いのであろうか。理由は何にせよトレースがあるとはいえ、雪が少なくラッセルが軽減されるのは大助かりだ。

・灌木があまりにも濃い場所は主に西側を迂回した。西側斜面にも雪は無く藪が出ているが、笹が多い場所もあり灌木よりはマシだった。東側は切れ落ちて大部分が迂回不可能だが、たまに東側に残雪がへばりついて藪を回避できる場所があり、時々東側を覗き込んだ方が藪を回避できる。藪の中では先人のトレースが判別しにくいが、基本的に尾根上を行くしかないので問題ない。

・標高1700m肩直下まで登って傾斜が緩むとやっと連続して残雪が現れ灌木藪から解放された。この後は仙人窟岳まで藪が登場することは無かった。ただし、東斜面は切れ落ちて雪庇が張り出している場所が多くて雪庇上を歩くのは危険で、雪が深めだが雪庇の根元を歩いた。先人のトレースも同様で、こちらは仙人窟岳山頂は目的外らしく山頂部分は西側を巻いていた。

・私は仙人窟岳山頂を踏む必要があるのでトレースを外れて平坦な山頂部を南から北へと縦断。平らなのでどこが山頂なのか不明だが、これならどこかで山頂を踏んでいるだろう。山頂部には低い灌木が僅かに生えるだけで展望良好。

・登山開始からここまで、ほとんど休憩なしで約7時間連続で歩いてきたのでさすがに疲れたために山頂で大休止。西寄りの風がやや強く、山頂の灌木藪の東側の一段下がった雪面で休憩。残雪期でこれほど長時間無休憩で歩いたのは初めてだ。ただし最初から最後まで先人のトレースがあってラッセルから解放されたのが大きい。この積雪で一人ラッセルだったら仙人窟岳までたどり着くことはできなかったに違いない。その先人は今頃どこを歩いているだろうか? 笈ヶ岳方面を見てみるが、片目しか見えない今の視力ではこの距離で人か木か見分けるのは不可能で、開けた稜線をデジカメのズームいっぱいで数か所撮影し、帰宅後に確認したら偶然にもそのうち1枚に人物が写っていた! 雪面のトレースからしておそらく笈ヶ岳山頂を踏んで下山途中と思われた。あの場所から仙人窟岳までどのくらいかかるのか分からないが、会えなかったのは残念だった。ぜひともラッセルのお礼を言いたかった。

・休憩を終えて下山開始。下山と言ってもここから馬狩荘司山まで標高はほとんど変わらず、大きな登り返しが2か所あるので時間はかかる。馬狩荘司山を越えれば下りになるのでそこまでが踏ん張りどころだ。

・灌木藪は下りでも難儀するが、登りと違って先の様子が見えるので効率的に残雪を利用できた。国見山の登り返しはきつく、自分で付けた細かなステップが大いに役立った。帰りは国見山山頂を巻いて瓢箪山方面へ。少しの間、トレースが無い新雪をラッセルしたが、膝近くまで潜るので体力を搾り取られた。多少遠回りしてもトレースを伝った方が良かったかも。

・瓢箪山を越えて最低鞍部から三方岩岳へのまとまった登り。登り用の体力は残り少なく、ゆっくりペースで往路の足跡を辿っていく。地形図上で三方岩岳の山名が書かれた1700m峰では単独男性がいてびっくり。これから有料道路料金所方面へ下るとのことだったが、私が先日見た橋の状況を話したが、なんと沢を渡ってそのルートから登ってきた人が今日いたそうだ。私が渡渉個所を探したときはまだ真っ暗で狭い範囲しか見えなったが、もう少し範囲を広げれば渡れる場所があったようだ。ただ、日が高くなり雪解けが進んだこの時間は雪解けが進んで沢の水量が増えているはずで渡れるのか不安があり、私は当初計画通り往路を戻ることにした。男性は東へと下って行った。

・真の三方岩岳山頂西側を巻いてトレースの主のテント横を通過。この時間だと主はもう一泊するのだろう。明日は天気は下り坂なので早めの下山がお勧めだが、今日の長距離ラッセルを考えると疲労が溜まっていそうだなぁ。

・馬狩荘司山手前でで最後の休憩。この分なら暗くなる前に下山できそうだ。もし暗くなっても夏道が出ている場所なら大丈夫だろう。おっと、残雪の場所でも往路の足跡が残っているから大丈夫か。ただし新雪が消えて古い雪しかない場所は足跡が無いかも。

・帰りは県境稜線から下る尾根入口まで直線的に進んだので無駄無し。先ほどの男性の足跡がそうなっていた。そして残雪上の足跡には1700m峰で会った男性の登りの足跡の他に、アイゼンの下りの足跡も残っていた。男性が話していた白谷を渡って三方岩岳に登り、帰りにこちらを下った人のトレースのようだ。尾根を見下ろすが人の姿は見えず、おそらく1時間以上は差があるようだ。

・開けた尾根上は朝とは違って雪がだいぶ解けて地面が出ている場所もあり、アイゼンは不要だった。雪は緩んでいるのでアイゼン無しでも下りでも大丈夫。適度な傾斜では靴底を滑らせて滑り降りた。ただしそんなことができるのは古い雪のみが積もった短距離だけだが。

・最後は雪が消えた夏道を下って登山口へ到着。予想よりは早く暗くなる前に到着できた。しかも疲労困憊までは至らずに済んだ。あの深い新雪が無ければ、もっと楽にもっと短時間で往復できたに違いない。

・道路脇の小さな水の流れで顔や体を濡れタオルで拭いてさっぱりしてから、温泉&買い物向けて下界へ向かった。


まとめ  今回は新雪の影響で苦労したが、新雪が無ければ大半の区間で快適な残雪歩きが楽しめたと思う。仙人窟岳南側のみ藪が出ていたが、全行程から見ればその距離は1%にも満たないだろう。このエリアの例年の残雪量は知らないが、温暖化が進んだ現代で大型連休でこれだけ残っていれば、おそらく毎年同程度の残雪が期待できるのではないか。技術的に難しい場所はなく、仙人窟岳付近の雪庇踏み抜きだけ注意すれば危険個所もない。この稜線が未踏の人は笈ヶ岳と組み合わせてテントを担いで歩くのがお勧め。

 

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